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着物大事典
京都には多くの神社仏閣が建立しており、すべてをまわるには1日ではまったく足らないほどです。その中でもご利益が期待できる厳選した神社仏閣をご紹介いたします。今回は三嶋神社です。
三嶋神社は子宝・安産の神であり、主祭神に大山祇神を祀っています。その発祥は、現在の愛媛県今治市、瀬戸内海に浮かぶ神の島とも称される大三島に鎮座する大山祇神社といわれています(大山祇神社が大三島と称されたことから島自体が同じ名称となりました)。静岡県三島市にある三嶋大社も、古来、大山祇神社に由来すると考えられてきましたが、現在では諸説あるようで、鎌倉時代に源頼朝が三嶋大社を崇敬したことから、関東や伊豆地方には武士によって三嶋大社から神が移されて祀られた三嶋神社も多いといいます。
愛媛県発祥など諸説ありますが、京都にも三嶋神社は存在しています。東山七条から東大路通を北へ進むと馬町の交差点があり、そこから東へ渋谷街道をしばらく歩くと、三嶋神社と書かれたのぼり旗が見つかります。その旗を目印に左折し、マンションに沿って歩くと三嶋神社が見えてきます。現在はその境内は極めて小さく、ここに辿り着くこともなかなか難しい場所にありますが、とても奥深い歴史を秘めた神社なのです。平安末期、後白河天皇の皇后・建春門院が子宝に恵まれなかったことから、天皇は子授けにご利益があるという、摂津国三島江村(大阪府高槻市)にある三嶋大明神に願掛けをしました。その数日後、夢に白髪の翁が現れて、「あなたは男児を授かるでしょう。その代わり、私を京の美の方角(南東)に祀りなさい」と告げたといいます。皇后・建春門院はお告げの通り、後の高倉天皇となる男の子を授かり、そのことをとても喜んだ後白河天皇は、永暦元(1160)年、京都に三嶋大明神を祀る社殿を建立して三嶋神社とし、京の巽の方角(東南)の守護神として崇めました。以来、皇室から厚く崇敬され、秋篠宮殿下が参拝されるなど現在でも厚い信仰が続いているほどの神社なのです。
かつて三嶋神社の近くには瀧尾神社(たきおじんじゃ)という神社が鎮座していました。現在は移転して京阪・東福寺駅から北へ歩いたところにあるのですが、その境内に三嶋神社の祈願所があり、子授け・安産の祈願や絵馬の奉納を行うことができるのです。この瀧尾神社境内にある三嶋神社の祈願所では、毎年10月26日に、鰻放生大祭(うなぎほうじょうたいさい)が執り行われ、鰻の供養が行われているのです。この大祭には全国の鰻専門店や養殖業者が集合して、参列者は100人にも及ぶそうです。三嶋神社の「三」は3匹の鰻を表していることから、3匹の慢を神池に放生して、ますますの商売繁盛を願うのです。このように、三嶋神社系列では鰻が神の使いとされており、子授けや安産を願って参拝した後、鰻が描かれた絵馬を奉納する習わしがあります。鰻が2尾描かれた絵馬は子授祈願用、鰻が3尾描かれた絵馬は安産祈願用なので、お間違いないようにしてくださいね。また開運のお守りもあって、その名前がなんと鰻登守(うなぎのぼりまもり)。運勢も鰻登りになるように願うといいかもしれません。
三嶋神社は東山区 東大路通にあり、この近くには京都といえばここと連想できる清水寺があります。清水寺を散策された後は二寧坂や三寧坂を通って食べ歩きを堪能したり、八坂の塔やインスタ映えスポットして有名になった八坂庚申堂を訪れるのも良いかもしれません。
いかがでしたか?今回は子宝・安産のご利益があり皇室からも篤く信仰されている三嶋神社をご紹介しました。三嶋神社の御使いが鰻というのにも驚きましたが、やはりそのほかの観光地へのアクセスが良いのも京都観光に向いている理由の一つだと思います。
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